デザイナーの仕事の進め方について、全体のフローと制作で意識すべきことを紹介します。質の高いデザインを制作するだけでは、デザイナーとしての成長には限界があります。コミュニケーションや時間への意識を高めることで、よりスムーズな仕事の進め方ができるようになるでしょう。
目次
1. デザインの仕事のフロー
デザインは商品やサービスの売れ行きや、企業のブランディングなどに大きな影響を与えます。クリエイティブなセンスが求められる仕事ですが、センスがあればうまくいくというわけでもありません。
まずは、ビジネスとしてのデザインの仕事を理解し、それに沿って着実にプロセスを進めていくことが大切です。 まずはデザイナーの仕事の進め方について、基本的なフローを確認しましょう。
1-1. ヒアリング・調査
デザイナーの最初の仕事はヒアリングと調査です。クライアントからデザイン制作の目的・目標や掲載媒体についてヒアリングしたり、競合のWebサイトやサービス、プロダクトについて調査したりします。
このプロセスはクライアントが何を求めているのかを理解する、最も重要なプロセスです。 具体的にはそのデザインはマーケティングのどのプロセスのためのものなのか、どのような層を集めたいのかなどをヒアリングします。
1-2. 企画・設計
ヒアリング・調査で得た情報をもとに、デザインの企画と設計が行われます。これはデザインの骨子を作るステップであり、プロジェクトの方向性やコンセプトを確立します。プロジェクトの目標や競合、トレンドなどを踏まえてデザインの戦略が立案されます。
1-3. デザイン制作
設計が確定したら、いよいよデザイン制作がスタートします。企画・設計をもとにアイデアを出し、デザインを形にしていきます。ツールやソフトウェアを駆使して、クリエイティブなアウトプットを生み出しましょう。
なお、いきなり完成形を作るのではなく、まずは「デザインカンプ」と呼ばれる完成見本を作ります。このデザインカンプを使って、次のプロセス「確認・修正」が行われます。
1-4. 確認・修正
デザインが完成したら、プロジェクトメンバーやクライアントによる確認が行われます。フィードバックを受け、修正が必要な部分を整理し、タスク化しましょう。
確認と修正のプロセスは、デザインをより洗練されたものに仕上げるためにも、クライアントとデザイナーの認識にズレがないかを確かめるためにも大切です。
1-5.コーディング・公開
Webデザインの場合は、デザインデータを納品して終わりではなく、コーディングの工程が発生します。確定したデザインを開発者(コーダー)に渡し、コーディングし、Webサイトやアプリケーションに実装・公開します。
このステップでは、デザイナーとコーダーのコミュニケーションが欠かせません。コーダーが作業しやすいように意図している動きや、テキストフォント、カラーコードなどを伝えるとスムーズです。
2. できるデザイナーの仕事の進め方
デザイナーは先述した各プロセスでクリエイティブな視点と戦略的な思考を活かし、クライアントの目標達成につながるデザインを生み出します。 ただ、デザイナーは一人で仕事をしているわけではありません。
デザイン製作を依頼したクライアントやプロジェクトマネージャー、コーダーなどのチームメンバーと関わり合いながらデザインを完成させます。 そのためには関係者それぞれとのコミュニケーションや意思疎通が大切です。デザイナーがスムーズに仕事を進めるためのポイントを3つ紹介します。
参照: デザインする時の基本的な進め方は?…https://studiok-co.jp/utilization/5126.html
2-1. デザインを作る前の「要件定義」を丁寧に
プロジェクトがスタートする前に、クライアントとの打ち合わせを通して要件定義をしなければなりません。要件定義はプロジェクトの目標やターゲット、デザインのスタイルなどを明確にするプロセスです。 要件定義が曖昧だと、確認や修正に時間がかかったり手戻りが多くなったりするでしょう。
できるデザイナーはこのステップを丁寧に行い、「何のために、どんなデザインを作るのか」を明確にしてから仕事に取り掛かります。 ここではヒアリングシートを用意するといいでしょう。次のようなヒアリング項目を設定し、シートに記載しておけば、確認漏れを防げます。
・デザインの目的
・掲載媒体
・ターゲット層
・予算
・スケジュール感 など
2-2. フィードバックでは言語化を意識
クライアントやチームからのフィードバックはデザイン製作に欠かせませんが、それを受ける際には注意が必要です。できるデザイナーはフィードバックを的確に言語化し、自分の解釈が間違っていないかを確認します。
チームメンバーに対してフィードバックや指示を与えるときも同様です。 これにより誤解や認識のズレをなくし、効果的な修正をスムーズに行えます。
2-3. 公開後は成果の共有・分析を
デザインが公開されたからといって、仕事は終わりではありません。できるデザイナーはデザインの成果を追跡し、分析することを惜しみません。
Webサイトやアプリケーションのパフォーマンスを分析することで、今後より良い仕事をするための課題や改善点を見つけ出します。このプロアクティブなアプローチが、デザインの品質向上には欠かせません。
3. デザイナーが仕事を進めるうえで意識すべきこと
デザイナーにとって「デザインの質」は大切です。 しかし、時間を気にせず際限なく質を追求することはできません。デザイナーにとってデザイン製作は仕事であり、仕事である以上、納期を守ることは絶対です。 デザイナーがスピーディに仕事を進めるために意識すべきポイントを紹介します。
参照:【仕事が遅い悩みを解決】新人デザイナーが覚えておくべき仕事の進め方…https://libertyde.org/post115/
3-1. 完成イメージを具体的にしよう
仕事をスムーズに進めるためには、プロジェクトの完成イメージを具体的に持つことが必要です。クリアなビジョンをもつことは、デザインの方向性を迷わせず、スピーディーな制作につながります。 具体的なイメージは関係者間での認識をずらさないためにも、余裕をもって制作を進めるためにも欠かせません。
たとえば既存のデザインの中から完成イメージに近いものを探してロールモデルとして共有する、ざっくりしとしたものでいいのでラフを用意するなどの方法が挙げられます。
3-2. 作業にかかる時間を把握しよう
デザイン制作は時間をかけようと思えば、いくらでもかけられてしまうものです。しかし、ビジネスにおけるデザインは、納期があります。 また、納期までにデザインだけ終わっていたらOKということはなく、コーディングや確認などの後続のプロセスが存在します。
プロセスごとに作業時間を見積もりって把握することが欠かせません。自分の作業時間を把握しておくことで、プロジェクトメンバーに迷惑をかけずに、納期に仕事を終えることができます。 時間管理のスキルを磨くことは、デザイナーにとって重要なスキルのひとつです。
4. デザイナーが”良い仕事”をするために、今すぐできる3つのこと
デザイナーに限らず、が常に高品質の仕事をするためには「学び続けること」が大切です。デザイナーとして良い仕事をすするために意識すべきことを4つ紹介します。
4-1. デザイントレンドのアンテナを広げておこう
デザインのトレンドは常に変化しています。新しいデザインのトレンドやテクニックを学び、実践することで、デザイナーとしてのスキルアップを図れるでしょう。 WebサイトやSNSから街中のポスター、通勤途中に買ったお菓子のパッケージにいたるまで、私たちの生活にはデザインがあふれています。
常にデザイナー目線で生活を送り、良いデザインの作り方について考えましょう。デザインやマーケティングに関するコミュニティを活用して、トレンドを追いかけるのもおすすめです。
4-2. インプットを多くし早くアウトプットしよう
新しいテクニックを覚えたらすぐに使ってみること、良いアイデアを思いついたら雑でもいいので具現化してみることを心がけましょう。このアウトプットのプロセスが、インプットしたことを何よりも血肉にしてくれます。
4-3. クライアントのフィードバックを蓄積しよう
クライアントからのフィードバックは、次のプロジェクトに役立つ貴重な情報です。プロジェクトの終了後にクライアントからの評価や意見を集め、改善点を洗い出しましょう。このフィードバックを蓄積し、次のプロジェクトに活かすことで、より良い仕事を継続して提供できます。クライアントからの印象も良くなり、仕事ももらいやすくなるでしょう。
5. 顧客満足度を上げるためにできることはたくさんある
デザイナーはクリエイティブな仕事ですが、「アーティスト」ではありません。デザイナーの仕事は顧客からの依頼で成り立っており、顧客満足度を高めることで、今の仕事を次の仕事につなげやすくなるでしょう。 質の高いデザインを納品する以外にも、顧客満足度を高めるためにできることはたくさんあります。
たとえば丁寧で密なやり取り、進捗報告などをするだけでも、顧客の安心につながります。 クリエイターだけでなく、営業やコンサルタントとしての目線ももつことで、よりスムーズな仕事の進め方ができるでしょう。