DX=大企業のイメージを持っている方もいるかもしれませんが、DXはより多くの課題を抱えている中小企業こそ取り組むべきです。中小企業こそDXに取り組むべき理由は如何なるものなのでしょうか。課題やリスクを乗り越えてでもDXは推進するべきものなのでしょうか。中小企業がDXに取り組むべき理由をメリットや推進のためのステップと併せてお伝えします。
目次
1. そもそもDXとは
DXとは企業がデジタル技術を活用してビジネスや業務フローを変革し、競争力を高めることです。DXの目的は単にITツールを導入したりデジタル化したりするのではなく、デジタル技術を基盤として根本的な企業のあり方、サービスの提供方法、顧客との関係性を変革することです。
そもそもDXが注目されるようになったのには、経済産業省が発表したDXレポートで言及されたことが始まりです。ここでは、2025年の崖に関する警鐘が鳴らされています。
2025年の崖とは、2025年までにDXを推進しないと、古いシステムの維持コストや人材不足が原因で経営リスクに直面する可能性があるというものです。
2. 中小企業にこそDXが必要な3つの理由
これからの時代で競争力を失わずに経営を安定させていくためには、中小企業こそDXが必要です。DXと聞くと大企業に必要なものとイメージをしている中小企業の経営層は少なくないでしょう。しかし、中小企業こそDXが必要な理由があります。3つお伝えしていきます。
2-1. 従業員数が少ない
大企業と比較しそもそもの従業員数が少ない中小企業は、DXが必要です。多くの中小企業では従業員の数が少なく足りておらず、ひとりあたりの業務量が多かったり、業務の属人化が激しかったりしているケースが多いです。
DXを推進することでルーティンワークを自動化して人的リソースをよりコアな業務に当てられるようになります。また、ITツールを活用することで業務プロセスを標準化し、ひとりの従業員にしか対応できないという状況からの脱却を目指すこともできます。
2-2. IT人材が不足している
DXを推進していくために、高度な知識やスキルをもったIT人材は必要不可欠です。そうでなくても、社内システムに詳しい人材をしっかり確保できている中小企業は少ないでしょう。特に中小企業ではIT分野においての専任がいないケースが多く、人材の確保が難しいがゆえにDX推進のハードルが高いのでしょう。DX推進にともない、このような人材の育成・確保を進める必要があります。
2-3. レガシーシステムが足枷になっている
レガシーシステムとは古いシステムです。レガシーシステムは古く、できることは限られています。それにもかかわらず、維持費が高かったり、新しいシステムへの互換性がなく連携が取れなかったりなど、抱える課題は多いです。
そもそものコストがかかっているから追加でITにコストがかけられない、新しいシステムを導入しても連携が取れないからすぐには必要性を感じられないなど、レガシーシステムがあることによって、DXのそもそもの重要性から目を逸らされてしまっています。
3. 中小企業がDXを推進する6つのメリット
DXを推進することで中小企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。代表的なメリットを6つお伝えしていきます。
3-1. 業務効率の向上
DXを推進するためにはまず業務内容の見直しおよび棚卸しを行い、どの業務のデジタル化が可能かを選定します。ここでデジタル化される業務は簡素化されるほか、ルーティンワークのような作業を手離すことも可能です。業務をデジタル技術によって自動化・効率化することで、従業員は人の手を割くべき業務に集中できるようになります。
3-2. 生産性の向上
ルーティンワークは誰がしても良い業務であり、デジタル化してロボットにさせたほうが作業効率が上がります。ロボットは人と異なりミスもしないので、業務の精度も上がります。
このような日々のルーティンワークが手離れしたことにより、従業員は時間的にも精神的にも余裕が持てるようになるでしょう。結果として、ほかのコア業務により集中できる環境をつくれます。コア業務に集中することで生産性が向上し、売り上げや利益に直接的に関係する作業も捗るようになります。
3-3. 働き方改革の推進
コロナウイルス感染症をきっかけに、働き方改革はより重要視されるようになりました。特にオフィスに出勤せずとも同じ効率で働けるテレワークやリモートワークは、コロナ禍で導入した企業が多いでしょう。
DXはこのような働く場所を問わない働き方を目指すのにも適しています。データのクラウド保管やオンラインコミュニケーションの強化などにより、これからの社会で求められる多様性のある働き方に対応できます。
3-4. 従業員エンゲージメントの向上
DXにより、従業員はリソースをよりコアな業務に充てられるようになります。ルーティンワークのような仕事に無駄な時間をかけているという気持ちをなくし、やりがいのある仕事ができている納得感が得られます。
これに加えて、多様な働き方に対応できるような基盤を整えておくことも重要です。従業員それぞれに合った働き方を提供し、無理なく勤続してもらえるでしょう。自分の事情を理解してもらえているという納得感も得られます。
このように、従業員が心地よく働ける環境の整備は、組織への帰属意識や忠誠度を高めます。結果として従業員一人ひとりのパフォーマンスが上がり、企業にさらなる利益をもたらしてくれるでしょう。
3-5. コストの削減
業務効率化は、単により多くの仕事をこなすために必要なものではありません。業務を効率化させることで無駄な業務が明確になり、それに付随してそこに割いているリソースの削減につながります。
DX推進によるレガシーシステムからの脱却も、コスト削減に効果的です。レガシーシステムは維持費が高く、会社の経費の多くを占めているケースがあります。最新の技術に互換することでそれらのコストを削減し、企業にとってより有効なシステムを使用できるようになります。
3-6. リスクの早期発見と対策
DXでは、データの活用を重要です。社内のいたる所で管理されてきたデータを一元管理し、蓄積されたデータはさまざまな意思決定を下すのに活用されます。さらに、蓄積されたデータを分析することで、将来起こりうるリスクの早期発見も可能です。リスクを早く察知することで解決までの時間的余裕が得られるうえ、データに基づく判断が下せるためより良い対策が取れます。
4. 【5ステップ】中小企業がDXを推進する方法
中小企業がDXを推進するのには、どのような手順に沿って進めていくべきなのでしょうか。中小企業がDXを推進するための方法を5つのステップに沿ってお伝えします。
STEP1.自社の課題とDXの目的を明確にする
DXを推進するためにはまず、自社における課題とDXの目標を明確にします。自社の課題が見えていないと、なんのためにDXを推進しなくてはいけないのか目的を見失ってしまいます。より効果的にDX推進をしていくためにも、どのような課題に対してアプローチがしたいのか、DXを推進する目的は何なのかは明確にしておくべきです。
STEP2.DX化する業務の工程と課題を洗い出す
DXを推進するために、どの業務からDXの取り組みをしていけるか、業務の工程と課題を洗い出しましょう。DXのはじめの一歩はデジタル技術を導入することから始まります。どの業務であればデジタル技術を導入できるか、最新のシステムに移行できるかなどを検討しましょう。
STEP3.DXの方法や必要なITツールを検討する
どの業務でDXに取り組むかが決定されたら、具体的な方法や導入・連携させるツールを検討しましょう。ツールもさまざまで、それぞれできることや規模感が異なります。旧システムとの互換性はもちろん、やりたいことができるツールを適切に選ぶことが、効果的にDXを推進するために重要です。
STEP4.DX推進の施策を実行し、データを取る
ツールが導入できたら施策を実行し、それに付随するデータを収集しましょう。これまで関連付けしてこなかったデータが一緒に蓄積されるなど、新たな発見もできるかもしれません。
STEP5.データの分析と改善をくり返す
データが十分に蓄積され始めたら、データ分析を行い今後の意思決定の材料にできます。データ分析によって実施した施策の評価ができたり、新しい施策に役立てられたりします。このようなデータに基づき施策の評価や改善をくり返すことで、より合理的な施策へとブラッシュアップしていけるでしょう。
5. 課題の多い中小企業こそ、DXを推進するメリットは大きい
DXと聞くと大企業が取り組むべきものとイメージしてしまう方は少なくないでしょう。しかしDXは企業の競争力を高めることを目的としており、課題の多い中小企業にこそ効果的です。もちろん課題やリスクをともないますが、それ以上のメリットが得られるのも事実です。できることから少しずつでも、DXへ取り組んでみてはいかがでしょうか。
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