DXリテラシーとは、デジタル技術を理解し、活用してビジネス変革を起こす能力のことです。この記事では、DXリテラシーの定義や重要性、向上させるための具体的な方法を解説しています。DX推進に課題を感じている企業担当者や、DXリテラシーを向上させたいビジネスパーソン必見です。
目次
1. DXリテラシーとは
まず「リテラシー」とは、情報を理解し活用する能力のことです。DXリテラシーとは、デジタル技術を理解し、活用することで、組織や社会に変化を起こす能力を指します。
現代社会においてDXは、企業の成長や競争力強化に不可欠な要素となっています。DXリテラシーを向上させることで、企業はデジタル化の波を乗り越え、成長を続けることができます。
1-1. ITリテラシーとの違い
DXに似た言葉にITがありますが、リテラシーにおいて何が違うかを解説します。
ITリテラシーとは、コンピュータやソフトウェア、ネットワークといった情報技術(IT)を理解し、使いこなす能力のことです。電子メールや文書作成ソフト、インターネットなどを活用して、業務を効率的に行うために必要なスキルといえます。
DXリテラシーは、ITリテラシーを基盤としつつ、さらに広い範囲をカバーします。DXはデジタル技術を活用し、新たな価値を創造したり、ビジネスプロセスを変革したりすることです。これらの目的を念頭に、デジタル技術を活用できる人材が、DXリテラシーの高い人材ということになります。
DXを推進するにはデジタル技術に対する理解だけでなく、ビジネスモデルや市場などに対する理解も必要です。ITリテラシーに加えて、データ分析、課題発見・解決能力、コミュニケーション能力なども必要となります。
2. 経済産業省による「DXリテラシー標準」とは
経済産業省が2022年3月に策定した「DXリテラシー標準」とは、すべてのビジネスパーソンが身につけるべきDXに関する知識やスキルの基準をまとめたものです。この標準は、企業や個人がDXを推進するための共通の指針となることを目的としています。
背景には、日本企業のDXが遅れているという現状があります。多くの企業がDXの必要性を認識しながらも、具体的な取り組み方がわからず、人材育成も進んでいないという課題を抱えています。そこで、経済産業省はDXリテラシー標準を策定し、企業のDX推進を支援することにしました。
DXリテラシー標準では、DX推進に欠かせない知識や姿勢として、次の4要素を掲げています。
- Why(DXの背景):DXの重要性を理解するために必要な、社会や顧客、ユーザー、競争環境などの変化に関する知識
- What(DXで活用されるデータ・技術):ビジネスの場で活用されているデータやデジタル技術に関する知識
- How(データ・技術の活用):データやデジタル技術をビジネスに活用する方法や注意点に関する知識
- マインド・スタンス:個人が自身の行動を振り返ったり、組織や企業がDXを推進し持続的に成長するために、組織の構成員に求める意識や姿勢、行動を検討するための指針
3. DXリテラシーを向上させるメリット
DXリテラシーを向上させることによって、企業はさまざまな恩恵を受けられます。業務効率の向上やコスト削減といった直接的なメリットだけでなく、従業員の意識改革や組織全体の活性化といった間接的なメリットも期待できます。
3-1. 業務効率と生産性の向上
DXリテラシーの高い従業員は、デジタル技術を効果的に活用することで業務プロセスを改善し、無駄な作業を削減できます。たとえば、従来は紙で行っていた書類作成や承認作業をデジタル化することで、業務のスピードアップや効率化を実現できます。
このような業務効率化により、従業員には余裕ができ、より重要なコア業務に集中できるようになるでしょう。売上や利益に直結するコア業務にあてられる時間が増えれば、組織全体の生産性も高まります。
3-2. コスト削減
DXリテラシーの向上は、コスト削減にも貢献します。たとえば、クラウドサービスの導入によって、従来型のITシステムに比べて運用コストを大幅に削減することが可能です。また、データ分析によって、無駄なコストの発生源を特定し、改善につなげることもできます。
先述の業務効率化も、コスト削減につながります。効率化により必要な人手や残業時間が減れば、人件費を削減できるからです。
3-3. 情報セキュリティの意識向上
DXリテラシーの高い従業員は、情報セキュリティの重要性を理解し、適切なセキュリティ対策を実践できます。たとえば、フィッシング詐欺やマルウェアなどのサイバー攻撃に対する知識を深め、被害を未然に防げるでしょう。
これにより、企業の情報資産を守り、顧客からの信頼を維持することにつながります。
3-4. 多様な働き方の推進
DXリテラシーの向上は、テレワークやフレックスタイム制など、多様な働き方の実現を促進します。場所や時間に縛られない柔軟な働き方は、従業員のワークライフバランスの向上に役立ちます。
これは、優秀な人材の確保や従業員の定着率向上にもつながります。
3-5. 競争力の強化
DXリテラシーを向上させることで、企業は新たなビジネスモデルを創出したり、既存事業に付加価値を加えたりして、市場競争力を強化できます。たとえば、顧客データを分析してニーズを把握し、パーソナライズされたサービスを提供することで、顧客満足度を高められるでしょう。
デジタル技術を駆使した革新的なサービスは、企業の成長を加速させ、競争優位性を築くうえで重要な役割を果たします。
4. 従業員のDXリテラシーを向上させる方法
従業員のDXリテラシーを向上させるためには、企業による積極的なサポートが不可欠です。さまざまな方法を導入することで、従業員の学習意欲を高め、効果的にDXリテラシーを向上させられます。
4-1. 講座や研修の実施
DXに関する基礎知識やスキルを習得するための、講座や研修を実施しましょう。eラーニングやオンラインセミナーなどを活用すれば、時間や場所を選ばずに学習できます。
研修内容を従業員のレベルやニーズに合わせてカスタマイズすることで、より効果的に学習を進められます。
4-2. DX関連の資格取得の推進
情報処理技術者試験やITパスポート試験など、DX関連の資格取得を推奨しましょう。資格取得に向けた勉強を通して、従業員の知識やスキルを深められます。
また、資格取得は従業員のモチベーション向上やキャリアアップにもつながります。資格取得を組織としてサポートする姿勢を示すことで、成長意欲の高い人材の採用につなげることもできます。
5. DXリテラシー向上のためのポイント
DXリテラシー向上のために、企業全体で取り組むべきポイントがいくつかあります。これらのポイントを押さえることで、より効果的にDXを推進できます。
5-1. DXの目的を明確にする
DXを推進する目的を明確にし、従業員に共有しましょう。目的を共有することで、従業員の意識統一を図り、DXに対するモチベーションを高められます。また、目的を明確にすることでDXの進捗状況を把握しやすくなり、適切な軌道修正を行えます。
5-2. 身につけるべきスキルや知識を明確に示す
従業員が身につけるべきDXスキルや知識を明確に示すことが重要です。スキルマップや学習マップを活用して、各従業員の現状のスキルレベルを可視化しましょう。そのうえで、個別に必要な研修などを実施することで、効率的なスキルアップが可能です。
目標が明確になることには、従業員の学習意欲を高める効果もあります。次に何を学習すればいいのかマップ形式で可視化することで、従業員は主体的に、効率よく学習を進めていけるでしょう。
5-3. DXに関するナレッジを社内でシェアする
社内ポータルやナレッジマネジメントシステムなどを活用し、DXに関するナレッジを共有しましょう。成功事例や失敗事例を共有することで、組織全体の学習効果を高められます。
また、従業員同士が自由に意見交換できる場を設けることは、新たなアイデアの創出やイノベーションの促進にもつながります。
【まとめ】DXリテラシーを向上させ、これからの時代に生き残れる組織づくりを
DXリテラシーの向上は、業務効率化やコスト削減だけでなく、従業員の意識改革や組織全体の活性化にもつながります。
これからの時代、DXリテラシーは企業の成長に不可欠な要素です。積極的にDXリテラシーを向上させることで、変化の激しい時代を生き抜き、持続的な成長を遂げられるでしょう。
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