Z世代の心を動かす新卒採用ブランディングとは?

新卒採用ブランディングとは、企業の魅力や価値を新卒求職者に訴求し、共感者を集めるための戦略です。新卒採用ブランディングは現在の採用市場で注目されており、新卒採用成功に大きな影響を与えます。本記事では新卒採用ブランディングがどのようなものか、6ステップに分けて解説します。成功事例も参考にして新卒採用ブランディングを行ってみましょう。

1. 新卒採用ブランディングとは?

 新卒採用ブランディングとは、企業が新卒の人材を採用するにあたって、自社の魅力や強みなどを求職者へ訴求し、ブランド化を図ることで新卒の採用活動を活性化させるための戦略を指します。新卒採用ブランディングでは、自社のイメージを向上させ、求職者からの共感を得られるかが特に重要なポイントとなります。新卒採用ブランディングの目的は主に人財の採用ですが、企業の目指すビジョンに適した人財からの共感を得る必要があるため、新卒採用ブランディングは慎重に戦略を立てなければなりません。新卒採用ブランディングを適切に行うことが、企業の認知度向上や十分な母集団の形成を実現させ、企業の求める人材の新卒採用に繋がります。

1-1. 新卒採用ブランディングが注目される背景

 インターネットの普及や労働人口の減少による人手不足が深刻化している現在において、新卒採用ブランディングは、企業の他にはない魅力や価値を求職者に訴求し、企業への共感者を集めるのに有効です。他者との差別化を図る意味でも、新卒採用ブランディングが注目されています。新卒のZ世代の求職者は、就職情報サイトによる企業情報の取得以外にも、社員からの企業に対する評価や満足度が分かる口コミサイトや仕事観以外の生活スタイルにも注目して情報を集める傾向にあります。適切なブランディングを行い求職者のニーズに沿った情報を発信していくことが求められているのです。

※出典:電通報「就職人気企業ランキングはもう古い!?今の就活生インサイトとは」(2024)

1-2. 新卒採用広報との違い

 新卒採用ブランディングと新卒採用広報は、共通する部分が多くあります。新卒採用ブランディングは主に新卒に向けて、企業のイメージを作成し定着させる「ブランディング」を行い、企業の価値向上と共感者を集めるのに対し、新卒採用広報は主に企業の情報や働くイメージの「発信」を行います。新卒採用ブランディングでは単に発信する活動だけでなく、企業のイメージや価値を高めることをゴールとしている点で異なります。

2. 新卒採用ブランディングの4つのメリット

新卒採用ブランディングを行うことのメリットを4つ解説します。

2-1. 企業の認知度向上

 新卒採用ブランディングを行うなかで、企業の魅力や社員の口コミなど、求職者がプラスと捉えられる情報を積極的に発信することで、関心を持ってもらいやすくなると同時に、競合他者との差別化ポイントもアピールできるため、求職者への効果的なリーチを期待できます。

2-2. 母集団の質向上

 効果的な新卒採用ブランディングにより、企業の魅力や価値が求職者に十分に伝わっている状態になると、事業内容や環境、働く人など、求職者の企業に対する理解が深まり、求職者自身で企業とマッチしているかを判断する「セルフ・スクリーニング」ができます。そのため、ただ数が多く集まった母集団ではなく、企業に適している人材が多く集まるようになり、母集団の質向上に繋がります。母集団の質が向上することで、選考辞退や退職のリスクも軽減されます。

2-3. 社員のエンゲージメント向上

 新卒採用ブランディングに取り組む過程では、企業の魅力や価値を社員が再認識することになります。改めて企業や自分の働きなどを見直す機会となり、その後のモチベーション維持やエンゲージメントの向上にもつながります。またエンゲージメントが高まることで企業への定着率向上も期待できます。

2-4. 採用コスト削減

 効果的な新卒採用ブランディングを行うことで認知度が高まると、求人広告、求人サービスを積極的に利用しなくても求職者の母集団が形成されるため、広告費の削減が可能です。また求職者が応募の際にセルフ・スクリーニングを行うことができるため、選考辞退のリスクが抑えられ、採用活動にまつわる人的なコストも軽減できます。

3. 新卒採用ブランディング成功のための6つのステップ

3-1. 自社の立ち位置を把握し、企業理念を明確にする

 新卒採用ブランディングを成功させるために、まず行うべきは自社の分析です。社員へのアンケートなどを通して、企業が抱えている課題を把握しましょう。外部の人にもアンケート調査を行うことも有効です。学生にアンケートを取るなどして、企業の立ち位置や課題をを把握すると、新卒採用ブランディングをスムーズに進められます。

3-2. ターゲットを設定する

 企業の立ち位置や課題が明確になったら、次に新卒採用を行う際のターゲット像を設定しましょう。企業の求める人材を集めるためにターゲットの設定は慎重に行います。必要なスキルや経験、性格や行動について、できる限り詳細なターゲット像を設定すると良いです。1から設定しづらい際は、社員の中からモデルを探すのもおすすめです。

3-3. コンセプトを立案する

 ターゲットを設定したら、次に新卒採用のコンセプトを決定します。発信する情報は、設定したターゲットに届けることを意識し、ターゲットに刺さるような企業の強みや環境などを企業全体で検討する必要があります。何を伝えたいのか明確にすることで、次のステップへスムーズに進めます。

3-4. コンテンツの作成

 前のステップで、ターゲットに伝えたいことが決定したら、次にそれを伝えるために発信するコンテンツを作成しましょう。過去に作成したものがすでにある場合はそちらの改善にも取り組むと良いです。また伝えたいことが複数ある場合は、優先順位をつけてあまり発信できていなかったものから考えましょう。コンテンツの例として、「圧倒的に成長しやすい環境」ということを伝えたい場合には、社員一人一人の裁量の大きさや、過去に行ったプロジェクトの紹介を行うというコンテンツを考えることができます。多くのアイデアを出すために、企業内で募ってみるのもおすすめです。

3-5. 発信媒体の選択

 ターゲットとコンセプト、コンテンツが決定したら、コンテンツを発信する媒体を選択しましょう。ターゲットが利用しており、企業にも適した発信媒体を使用するのが重要です。新卒採用ブログを利用するのか、SNSを開設するのかといった選択を企業の状況に合わせて選択しましょう。

3-6. 継続的な発信と効果測定

  発信する媒体が決定したらいよいよ運用を開始します。発信を続けるなかで、企業がターゲットに伝えたかった内容がどの程度届いているのかを測定していくことが重要です。どの程度クリックや反応があったのかを把握し、継続的に改善すべきポイントがないか考えましょう。またターゲットが企業に求めることや、企業がターゲットに伝えたいことなど、新卒採用市場の変化に応じて変わる可能性も十分にあります。常に最適な新卒採用ブランディングができるようにしましょう。

4. 新卒採用ブランディングの成功事例

 最後に新卒採用ブランディングを行い、新卒採用を成功させた事例を2つ紹介します。

4-1. イメージ調査とコンテンツの統一でエントリーが約40倍に!「三幸製菓株式会社」

 三幸製菓株式会社は、予算も少なく企業認知度の高くないなか、採用ブランディングを成功させ、エントリー数が300名だったころから約3年で13,000名にまで増加させています。

競合へのアンケートを通してエントリー数を把握し、自社とのエントリー数の差が課題だと感じた三幸製菓株式会社は、認知度向上のために新卒採用ブランディングを開始しました。まずは自社の立ち位置を把握するべく、企業に対するブランド調査を実施し、競合との認知度の違いやイメージを確認しました。結果、競合大手の場合は約8割の認知度があったのに対し、三幸製菓株式会社の認知度は2割程度となりました。

続いて、社内で新卒採用ブランディングのコンセプトを検討し、「売上成長力」が高いことに行き着きます。その後「高い熱量と成長力をもった知られざるお菓子メーカーがある」というブランディングを打ち出すことを決定しました。

これをもとにコンテンツを考案し、就職ナビサイトのデザインは全て刷新、色は赤に統一、パンフレットは巻物型にと徹底的なブランディングに取り組みました。また合同説明会のプレゼンテーションでは三幸製菓株式会社が伝えたい「自分たちがいかに成長しているか」という情報のみを徹底アピールしました。こうした新卒採用ブランディングを行った結果、約3年でエントリー数が300名から13,000名の約40倍を実現したのです。

4-2. 社内調査から発信不足な内容を把握し、コンセプトから一心!「第一カッター興業株式会社」

 第一カッター興業株式会社は、社内でアンケートをとった結果をもとにコンテンツとして「採用ページ・採用動画」を作成し、採用ブランディングを成功させました。

第一カッター興業株式会社の専門はコンクリートやアスファルトの切断・穿孔工事であり、採用ブランディングを行う際に、若手社員を対象に自身や企業のことについて詳細にアンケートを取りました。自社を知ったきっかけや志望動機、入社前に感じた不安などを調査した結果、「仕事の進め方」「社員同士の関わり方」という実際に働くイメージを持つための情報が不足していたことを確認できました。

第一カッター興業株式会社のターゲットは、分析と知性・体力・コミュニケーション力等を備えた「オールマイティ人材」であり、コンセプトにはターゲットを表す「サムライ採用」という設定をしました。

コンテンツの作成段階では、切断のプロ集団として仕事に向き合う姿勢や、文武両道な様子をサムライになぞらえて、「切る」ことをベースにしたデザインに統一しました。

さらに実際の仕事について理解し働くイメージを持ってもらうために、本音を取り上げた社員インタビューを掲載しました。今後は内定者へのヒアリングなども継続され、さらなる新卒採用ブランディングが行われます。

【まとめ】ポイントを抑えて新卒採用ブランディングを成功させよう

 インターネットの普及や労働人口の減少による人手不足が深刻化している現在の採用市場において、他者にはない企業の魅力や価値を求職者に訴求することが新卒採用成功の重要なポイントになっています。自社の強みを再認識し、ターゲットや発信内容を検討する新卒採用ブランディングを行うことで、自社に適した求職者をしっかりと集めることができる可能性があります。また新卒採用ブランディングを行うことは、社員のエンゲージメントや採用コストの面などでも多くのメリットを得られます。新卒採用ブランディングを成功させるために6つのステップをこなし、新卒採用ブランディングを成功させましょう。

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