リファラル採用とは、従業員に知人や友人を紹介してもらう採用方法です。本記事では、リファラル採用のメリット・デメリット、縁故採用との違いや成功させるためのポイントを解説しています。採用活動の効率化やコスト削減を目指している企業の担当者は、ぜひ参考にしてください。
目次
1. リファラル採用とは
リファラル採用とは、企業が従業員を通して知人や友人を紹介してもらい、採用につなげる方法です。近年、多くの企業で導入が進んでいます。この方法によって、企業は従来の採用活動とは異なる経路で人材を獲得できるようになります。採用活動の幅が広がることで、より多様な人材に出会う可能性も高まります。
リファラル採用の主な効果は、採用コストの削減や従業員エンゲージメントの向上、企業理念に共感する人材の確保などです。また、従業員紹介という形で入社するため、ミスマッチを防ぎ、定着率を高めることも期待できます。
従来の採用活動では、求人広告や人材紹介会社を利用することが一般的でした。しかし、少子高齢化による人材不足や、企業理念への共感などを重視する求職者の増加といった背景から、リファラル採用が注目されています。
1-1. 縁故採用との違い
縁故採用とは、企業の経営者や役員、従業員などの親族や知人を、特別な選考なしに採用する形態です。能力や適性よりも、個人的なつながりを重視する点が特徴です。
リファラル採用では、あくまでも従業員が知人や友人を「紹介」するところまでです。紹介された人は、他の応募者と同様に選考プロセスを経る必要があり、能力や適性に基づいて合否が判断されます。縁故採用のように、個人的なつながりだけで採用が決まることはありません。
2. リファラル採用5つのメリット
リファラル採用には、企業にとって多くのメリットがあります。ここでは、主なメリットを5つに分けて詳しく解説します。
2-1. 採用ミスマッチの防止
従業員が紹介する人材は、企業の文化や風土をよく理解しているため、入社後のミスマッチを防げます。紹介者は、候補者の性格や能力を把握しており、企業との適合性を判断したうえで紹介します。入社後のギャップが少なく、早期退職のリスクを減らせるでしょう。
従来の書類選考や面接だけでは、候補者の人物像や価値観を完全に把握することは難しかったです。しかし、リファラル採用では、紹介者を通して候補者のより深い情報を得られます。そのため、企業と候補者の双方にとって、より納得度の高い採用活動が可能です。
企業理念や社風に合った人材を採用することで、従業員の定着率向上につながり、長期的な視点で人材育成に取り組めるようになります。
2-2. 従業員エンゲージメントの向上
従業員エンゲージメントとは、従業員が会社や仕事に対してどれくらい愛着や思い入れを持っているかを示す概念です。リファラル採用では従業員が採用活動に積極的に関わることで、会社への貢献を実感し、エンゲージメントが高まります。
従来の採用活動では、人事担当者だけが採用活動に関わることが一般的でした。しかし、リファラル採用では、従業員一人ひとりが採用活動に貢献できます。
従業員エンゲージメントが高まると、モチベーション向上や離職率の低下につながり、企業の成長を促進する力となります。
2-3. 転職潜在層にアプローチできる
転職潜在層とは、積極的な転職活動はしていないものの、良い条件があれば転職を検討する可能性のある人材のことです。リファラル採用では、従業員の人的ネットワークを通じて、転職潜在層にアプローチできます。
従来の採用活動では、転職サイトや求人広告に掲載することで、転職活動をしている人にアプローチすることが一般的でした。リファラル採用では、従業員の知人や友人を紹介してもらうことで、転職活動をしていない人材にもアプローチできます。
転職潜在層には、優秀な人材が隠れているかもしれません。リファラル採用を導入することで、採用候補者の母集団を広げられ、より優秀な人材を獲得できる可能性が高まります。
2-4. 既存社員の帰属意識の向上
帰属意識とは、「自分は会社の一員である」という意識のことです。帰属意識が高い従業員は会社に愛着を持ち、より積極的に仕事に取り組み、離職のリスクも低いです。リファラル採用では、従業員が友人や知人の紹介を通して会社への愛着や誇りを持ち、帰属意識が高まります。
従来の採用活動では、従業員は採用活動に関わることが少なく、採用活動を通して会社への帰属意識を感じることはありませんでした。しかし、従業員が採用活動に積極的に関わるリファラル採用では、会社への貢献を実感し、帰属意識を高められます。
2-5. 採用コストの削減
リファラル採用では、求人広告や人材紹介会社に支払う費用を抑えられるため、採用コストを削減できます。
従来の採用活動では、求人広告や人材紹介会社に多額の費用を支払う必要がありました。しかし、従業員からの紹介であるリファラル採用では、これらの費用を抑えられます。
採用コストを削減することで生まれた資金は、人材育成や福利厚生など、他の重要な分野に投資できます。
3. リファラル採用3つのデメリット
リファラル採用には、メリットだけでなくデメリットも存在します。企業がリファラル採用を成功させるためには、これらのデメリットを理解し、適切な対策を講じる必要があります。
3-1. 不採用にしづらい
リファラル採用では、不採用にしづらいという点がデメリットとして挙げられます。従業員が紹介した人材を不採用にする場合、紹介者の心情を考慮する必要があるためです。
紹介者は、自分が推薦した人材が採用されることを期待しています。不採用になった場合、紹介者との関係が悪化したり、紹介者がやる気をなくしたりするかもしれません。
この問題を解決するためには、選考基準を明確化し、紹介者と候補者に事前に伝えることが重要です。また、不採用理由を丁寧に説明することで、紹介者の理解を得られるよう努める必要があります。
3-2. 人間関係への配慮が必要
リファラル採用では、紹介者と候補者の人間関係に配慮する必要があります。たとえば、紹介された候補者が採用された後、職場での人間関係が悪化したり、紹介者と候補者の間でトラブルが発生したりする可能性があります。
このような問題は、紹介者と候補者が、友人や知人といった個人的な関係である場合に起こりやすいです。職場での立場や役割によっては、公私混同によるトラブルに発展する懸念もあります。
リファラル採用を導入する際は、紹介者と候補者の双方に、職場での適切な関係について事前に説明しておくことが大切です。定期的に面談を実施し、人間関係の状況を把握することで、トラブルを未然に防ぐこともできます。
3-3. 人材が偏りやすい
リファラル採用では、従業員と似たような属性の人材が集まりやすく、人材が偏りやすいです。
紹介者は、自分と似たような経歴や価値観を持つ人を紹介する傾向があります。紹介だけでは、多様な人材を確保することは難しいかもしれません。
人材の偏りを防ぐためには、多様な従業員に紹介を依頼したり、社内の啓蒙活動を通じてリファラル採用の目的を共有したりすることが重要です。
多様な人材を獲得することで、企業はよりイノベーティブなアイデアを生み出し、変化に柔軟に対応できる組織体制を構築できます。
4. リファラル採用が適しているケース
リファラル採用は、すべての企業に有効なわけではありません。企業の状況や課題によっては、他の採用方法が適しているケースもあります。ここでは、リファラル採用が特に有効なケースを3つに分けて解説します。
4-1. 採用コストを抑えたい
採用コストを抑えたいと考えている企業にとって、リファラル採用は有効な手段です。特に以下のようなケースでは、リファラル採用を積極的に活用することで、採用コストを大幅に削減できるでしょう。
- 新卒採用に比べて費用対効果が低い中途採用を多く行っている企業
- 採用人数が多く、採用コストが大きな負担となっている企業
- 求人広告や人材紹介会社への依存度が高く、コスト削減を検討している企業
リファラル採用では、従業員からの紹介をベースとするため、求人広告や人材紹介会社に支払う費用を抑えられます。その結果、浮いた費用を人材育成や福利厚生など、他の重要な分野に投資できます。
4-2. 求める人材像が具体的
求める人物像が明確な場合、リファラル採用は非常に有効です。具体的には、以下のようなケースが考えられます。
- 専門的なスキルや経験を持つ人材を採用したい企業
- 企業文化にマッチする人材を採用したい企業
- 特定の業界での経験を持つ人材を採用したい企業
リファラル採用では、従業員が候補者の能力や人柄を事前に把握しているため、企業の求める人物像に合致する人材を紹介してもらえる可能性が高いです。
4-3. 組織の風土や文化を変えたい
組織の風土や文化を変革したいと考えている企業にとっても、リファラル採用は有効な手段となります。
- 現状の組織風土に課題を感じている企業
- 新しい価値観や考え方を取り入れたい企業
- 多様性を重視した組織作りを目指している企業
従業員が紹介する人材は、従業員と似たような価値観や考え方を持つ可能性が高いため、組織風土に良い影響を与えることが期待されます。
候補者の特徴を事前に詳しく把握できるリファラル採用は、多様性の高い組織づくりにも有効です。従業員の多様性を高めることで、よりイノベーティブな組織文化を形成することもできます。
【まとめ】リファラル採用では紹介者へのサポートが重要
リファラル採用を成功させるためには、紹介者へのサポートが不可欠です。紹介者が安心して候補者を推薦できるよう、企業は積極的にサポート体制を整える必要があります。
たとえば、紹介者向けのガイドラインやFAQを作成し、疑問を解消する場を設けることが重要です。また、紹介に対する感謝の気持ちを伝えるとともに、紹介された候補者への丁寧な対応を心がけることも大切です。紹介者へのインセンティブを設定するのもいいでしょう。
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